白熊日記

7歳と5歳を育てる母親が、日々考えたことを書いています。

過去からの激励

晩ご飯の後、洗濯物をたたんでいたら電話がかかってきた。新卒で勤めた会社の先輩からだった。

今では年賀状のやりとりだけになっている先輩からの電話。年末だし、たぶんあの会社の忘年会でもやってるんだろうな、と思って出ると、やっぱりその通りで、とても久しぶりに話す当時の同僚たち(主に先輩、全員男性)と代わる代わる話すことになった。

 

最近会った人でも10年ぶり、会社を辞めて以来の人だと18年ぶりとかなので、話すことなんてない。全員に「ご無沙汰してます」と言っていたら、横で次男が「何回同じこと言ってんのよ!」とツッコんできた。

 

相手にも当然話題なんてないので、みんなに同じことを聞かれる。

今どうしてるの?東京にいるもんだと思ってたよ、いつそっちに引っ越したの?

そんな中で、意外だったのは全員に「仕事は何やってるの?」と聞かれたことだった。

仕事はしてないわけではない。でも、夫が会社をやっててその手伝いをしています、と言うのも説明が長くなるし、何の会社?とか聞かれるとめんどくさい。だから仕事はしていないと答えた。すると全員が驚き、へえー専業主婦かあ、意外だね!と言った。

 

そうか、仕事をしていない私は、みんなにとっては意外なんだ。自分ではもう、夫の手伝い程度の仕事と家事と子育てだけをする今の生活に慣れすぎていて、意外だという反応こそが意外だった。

 

先輩たちと一緒に働いていた20年前、働き方改革なんて言葉はまだなくて、毎日深夜まで働くのがむしろいいこととされるような時代だった。私だけではなく、そして私が勤めていた会社だけではなく、世の中全体がそんな感じだった。夜中の3時にメールを送ったらすぐに返信が来た、なんてこともよくあった。そんな中、教育体制の整っていない中小企業に新卒第一号で入った私にできることは、必死に食らいついて何とか仕事をこなすことだけだった。

 

その頃の私を見てきた人たちだから、がんばらずにのんびり暮らしている私の姿は意外なのかもしれない。あるいは、彼らの周り(東京)では共働きが当たり前だから意外だという、ただそれだけなのかもしれないけど、いずれにしろみんなからの意外だという反応は、私にとっては新鮮で、自分の身の振り方を考えるいいきっかけになった。

 

今の生活も、それなりに忙しい。手伝い程度の仕事と言っても時間は取られるし、育児はワンオペで自由な時間は少ない。でもそんな暮らしの中でちょこちょこ余る30分とか1時間とかの時間を有効活用できていないことに、長年へこんできたのも事実だ。今だって、これでいいのかなと思うことはしょっちゅうある。そんな自分の心を見透かされたような気がした。仕事をしていない状態に不満があるのではない。人生をがんばりきれていないことに不満があるのだ。

 

実は、同じような逡巡を経て、昨年翻訳の勉強を始めていたのだが、時間のなさを理由に最近あまり真面目にやっていなかった。やっぱりがんばろう。がんばって、夫の手伝いではない仕事、自分だけの仕事ができるようになりたい。

電話を切り、子どもたちを寝かしつけながらそう思った。