白熊日記

7歳と5歳を育てる母親が、日々考えたことを書いています。

子どもと映画

マリオ大好きな子どもたちを連れて、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』を観に行ってきた。

特に繁華街でもない街のイオンの映画館。去年の夏にパウ・パトロールの映画を見に行った時はガラガラだったその場所に、子連れの客がひしめいている。ポップコーンの売店に長蛇の列ができている。3歳と1歳の頃からコロナ禍だった我が家の子どもたちにとって、こんな人ごみを歩くのは片手で足りるほどしか経験したことがないはずだ。私と手をつないでいた次男の指にぎゅっと力が入る。5歳ながら、これは親とはぐれたらまずい状況だと理解して強めに手を握ったらしい。

事前にネットで予約していたチケットで入場手続きをした時にはもう、上映前の予告が始まっていた。暗い劇場内で緊張しながら座席に向かう次男の姿がかわいい。私と夫で子どもたちを挟むように座る。

いよいよ本編が始まった。怖い描写はまったくないのだが、音の大きさとテンポの速さにびっくりしてしまうらしく、次男は隣にいる私の手を離さない。そして中盤、映画のストーリーはネタバレになるので伏せるが、それまで私の手を握りながらも面白い場面では声を出して笑っていた次男が、次第に真顔になり、クッパドンキーコングが出てきて子どもにとってはちょっと怖いかなという展開になった瞬間、うえーーーん!と大声で泣き出してしまった。我慢の限界という言葉を映像にしたらこんな感じだよね、という泣き方だった。私は大丈夫大丈夫と言いながら、急いで次男を連れて劇場の外に出た。

かわいいなあ。怖い映画を観て泣いてしまうなんて、親からするともうかわいい以外の感情は出てこないわけだが、次男本人にとってはやはり恥ずかしさやふがいなさが募るらしい。気分を変えるために映画館を出て下のフロアの本屋に行っても、次男はうつむいたまま、黙って手を引かれて歩き続ける。何かほしい本があったら買ってあげるよと言っても、鼻水をすすりながら頷くだけで何も言わない。

しばらく歩いてから空いていたベンチに座って抱っこしていたら、おもむろに「こわかった」「もうえいがみない」と言う。そうだよねえ、お母さんも子供の頃、グレムリンっていう映画に連れていかれて何年もずっと怖い思いしたよ。ごめんね、マリオの映画なら怖くないと思って、楽しいと思って連れていったんだけどねえ。そんな会話をしながら映画が終わって夫と長男が出てくるのを待った。

自分が子どもの頃に観たグレムリン、どんな話だったのかはさっぱり覚えていないのに、とにかく怖かったということと、映画の最後に流れた「あなたの家にもグレムリンがいるかもしれない」的なナレーションだけ鮮明に覚えている。当時は母に対して「なんでこんな怖いものを見せたんだろう」と不思議に思っていたが、ネットもまだない時代、母はきっとそこまで怖い話だとも思わず、たまには奮発して映画でも見せてやろうと張り切って連れていってくれたのだと思う。

ごめんね次男。しばらく映画はやめておこうと思う。